スライド作成の極意:図表編
恒例になってきたスライド作成の極意、今回は図表の作り方・魅せ方編です。
主要な学会もほぼ終わってきた、そんなタイミングですが、次回に向けて是非活用してください。
いつもの通り、Power pointを、また今回はExcelにも活躍して貰います。
スライドの図表の作り方
発表は図表が全て
学会発表でも論文でも、結果の提示が一番大事なのは同じです。
そして、その結果を示しているのが図表です。
論文の場合にはモノクロ限定だったりフォントなどに制限があったりと、投稿規定に沿う必要がありますが、学会発表の場合には制限があまりないので、わかりやすさを重視した図表を作ることができます。
なにより文字を読むより図で見る方がスッと理解できますよね。
そんな、スッと頭に入る図表を心がけましょう。
表の作り方
表・Tableの基本
行と列
数学で行列やりましたね。アレです。横が行、縦が列です。二本線の向きで覚えましょう。
どっちに何を置くか
項目の種類や数にもよりますが、グループ分けを列で行い、項目を行で記載することが一般的です。
逆になっていると、それまでの形式に慣れている人が見るとちょっと混乱します。
実際の手順
①Excelで表を作成する
集計そのものをExcelで行うことが多いと思います。そのため、Excelで先に表を完成させておき、それをコピーしてパワポに貼り付けるのがおすすめです。
この時、セルの結合はしておく方が見た目の修正上やりやすいですが、フォントの大きさなどはどうせ修正するので気にしなくて大丈夫です。
②パワポにコピペする
先ほど作成した表を選択→コピー→パワポのスライド上で貼り付け
③文字のサイズや色を変更する
詳しくは次へ。
表の見た目の揃え方
情報量にもよりますが、文字はできるだけ大きい方が見やすいです。
項目など行頭・列頭に色を付けたり、項目が多い場合には列に色を付けて縞々にしたりするのも見やすくする工夫の一つです。また、適度にスペースを空けましょう。
スペースの微調整は、「行の高さ」「列の幅」もしくは「セルの余白」で変更できます。
しかし、パワポでいろいろ微調整をしていると、行の高さや列の幅がなんだがバラバラになってしまいますよね。
こんな時は、表のうち揃えたい行/列を選択>表ツールタブ>レイアウト>セルのサイズ>高さを揃える/幅を揃えるをポチりするだけで揃えることができます。
(選択した範囲の幅を揃えてくれます)
セル内の文字列の配置(上詰め、右詰めなど)も、揃わないと注意が逸れてしまうので揃えておきましょう。
表の活用
症例報告では、検査値をまとめて提示することがあると思います。
データはたくさんあるけれど、単位も含めてきれいに揃えたいですよね。
そんな時に表を使います。
まずエクセルで検査値一覧表を作成します。
この時、項目、値、単位で列を分けておきます。
これをパワポにコピペ。
項目と単位は左詰、値は右詰にすると、きれいに揃います。(この動作はExcel側でやっても可)
グラフの作り方
グラフの選び方
項目が少ない物を比較したり、推移をみるにはグラフの方が直感的に分かりやすいのでおすすめです。
そんなグラフも色々な種類があります。
どれを選ぶかは趣味の範疇ですが、個人的なおすすめを紹介します。
円グラフ
医学・特に臨床系の学会発表ではあまり見かけません。
全体における割合・比率を示すのが得意です。
例)患者の年代別割合、感染原因菌の検出頻度、遺伝子変異の割合など
棒グラフ
縦棒グラフが使われることが多いように思います。
いくつかの項目を同時に比較する場合:アンケートの回答結果など
一つ、もしくは少数の項目の変化をみる場合:介入による血圧の変化、採血結果の経時的推移など
散布図グラフ
いわゆる折れ線グラフは散布図で作ります。検査結果の推移などに使われます。
一般的に横軸が時間、縦軸が検査結果などの値になります。
白血球、Hb、CRPなど単位も値も大きく異なるものを同時に記載する場合には、10^3にするなど単位をずらす(その場合には凡例に必ず記載)か、第2軸を作って同じような高さで表示させましょう。
例のように、矢印やバーを追加して治療内容を入れると、経過が一目で分かりやすくなります。
グラフの作り方
これもExcelで作るのが簡単だと思います。
グラフに入れたいデータを選択して>挿入>グラフ>おすすめグラフ>全てのグラフ から目的のグラフを選びます。
グラフ用の表を作成しておくのが簡単ですが、離れたところのデータも、グラフを選択してグラフのデザイン>データの選択、から追加することができます。
ここでできたデータをパワポにコピペして見た目を調整しましょう。
Excel-Power Point間でデータの連係ができていると、元のExcelを修正するとパワポのグラフもそれに合わせて修正されます。
(パスで元データを参照しているので、違うPCからアクセスしたりファイルの場所を変えると連携が取れなくなります)
グラフの注意点
凡例は必ず入れる
どの色が何を示すのか、など、凡例は必ず記載しましょう。
文字を大きく
Excelからそのままコピペすると大抵文字が8-9ポイントと極小なので、まず16~20ポイントくらいに大きくしましょう。
いざという時はテキストボックス
グラフスタイルに頼ってばかりだと、なかなか微調整が上手くいかないことがあります。
そんな時は、諦めてテキストボックスで上書きしましょう。
元の文字はテキストボックスを背景色で塗りつぶすか、塗りつぶし用の四角を作るか、消したい部分を選択してDeleteで消すことができます。
色の使い方
前回も少し書きましたが、メインカラーとアクセントカラーを意識しましょう。
グループ分けがある場合には、グループで統一の色を使った方が分かりやすいです。
補色のような、遠い色を使うのがおすすめです。
それ以外に強調したい部分がある場合には、強調を赤、グループ分けに青系+オレンジ系などとしていますが、あまりたくさんの色があるとそれはそれで混乱するので、使う色は少なくしましょう。
学会発表のおすすめソフト
学会発表はOfficeソフトを活用するのが便利。
そんなOfficeとの相性が良い統計ソフトがあります。
名前の通り、Excelのアドオンソフトなので、結果は全てExcel上に出ます。
結果をそのままグラフにするのも簡単。
個人的には、生存曲線を描くのにかなり活躍して貰っています。
エクセルのグラフとして出力されるので、線の太さや色、プロットの形などを後から自由に変えることができます。
学会発表レベルであればこのソフトは手放せません。
Power Pointに限らず、Officeのグラフは奥が深いです。
色々な魅せ方ができるので、いろいろいじってみてください。
でも、学会発表はSimple is best!です。
目立たせたい部分と問題ない部分を見極めて、聞いている人に伝わりやすいスライドを心がけましょう。
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