スライド作成の極意:内容編
スライド作成の極意第2弾はスライドの流れをマスター。
第1弾はこちらから。
スライドの流れ
学会発表は芸術ではないので、分かりやすく自分の成果を伝えることが重要です。
ある程度の型があるので、それに沿うと聞いている人もスムーズに付いてくることができます。
まずはスライドの流れを把握しましょう。
背景
今回の発表の「ジャンル」「テーマ」の紹介です。
「現在までに分かっていること」と「まだ分かっていないこと(今回の発表で明らかにしたいこと)」を提示すると次への流れがスムーズです。
目的
「今回の発表のメインテーマ」です。何を明らかにしたのか、何についての調査なのか、完結に述べましょう。
分量によっては背景と一緒になることもありますが、目的はしっかり提示した方が「何に注目すべきなのか」が聞いている人に分かりやすくなります。
方法
調査の方法です。過不足無く完結に。チャート図などを使うのも分かりやすくて良いと思います。
結果
調べたことなどの結果を提示します。
時間をかけて調べたことをあれもこれも提示したくなりますが、「目的」から「結論」に至る上で必要なデータを厳選して提示しましょう。
考察
過去の報告のまとめや過去の報告との違いなどを提示してこの発表の「意義」をアピールします。
これも結論につながるように。
結論
目的と対応する結論を完結に。
※近年の学会ではCOIの開示が求められることが多いです。2枚目なのか、最後なのか、発表者への案内に記載があると思うのであらかじめ確認しておきましょう。
症例報告編
症例報告は「こんな珍しいことがあったから共有するよ!」が根底です。
まず「どこが」珍しいのかをはっきりさせておきましょう。
疾患そのものが珍しいのか、通常の経過とは違うことがあったのか、治療法が珍しいのか。
「よくあること」と「珍しいこと」の対比を意識して流れを作りましょう。
背景・目的
疾患についてであれば頻度や概略など、教科書的な内容を。
経過や症状などがメインであれば通常の経過についてなど、「一般的なこと」を説明するのが分かりやすいと思います。
その上で、今回「こんなこと」があったので共有します。という目的を述べる流れが多いです。
そんなわけで、症例報告では目的はそこまで重くないので、背景と一緒でも良いかもしれません。
症例
方法や結果は症例の提示になります。
患者さんの概要を症例プレゼンの様にまとめて提示します(もちろん個人情報に配慮して)。
文字だけだとわかりにくいので、表や図なども活用しましょう。
経過が長い場合には、グラフなどを使って表すのも分かりやすくなると思います。
ここでも大事な情報の取捨選択が大切です。
(症例報告は大抵時間が限られているので)
考察
その「珍しいこと」について、今までに似たような報告があるか、過去の報告を調べてまとめると箔が付いたようになります。
一覧表などにしてまとめる人が多いですね。
その上で、過去の報告との類似点や相違点を述べると良いでしょう。
結論
簡単に言うと「こんなことがあったよ。だからみんなも気をつけてね。」です。
それっぽく言ってください。
症例まとめ編
複数の症例をまとめた報告は下準備が重要ですね。
一般的に○○と▲▲を比較して、○○が優れていた、という流れが分かりやすいと思います。
ただ○○が良い!と主張しても、その根拠がしっかりしていないと信用されません。
そんなときに一番簡単なのが比較することです。
これに当てはまるネタを探すのが大変なんですよね……
背景
なぜその調査をしようと思ったのか、を提示しましょう。
ここまでは分かっているけど、ここが分からない。 という流れです。
目的
○○の有効性を検討する。明らかにする。
というような書き方が多いです。
方法
まとめる症例の選び方や除外の仕方、また比較するには群の分け方をあらかじめ説明します。
フローチャートなどで記載すると分かりやすいですね。
また、後々のために各群にはこの段階で名前を付けておきましょう。
それぞれの群で何を調べたのか、何を比較するのかもここで提示します。
結果
色々と比較した結果を提示します。
患者背景が最初ですが、その後は「結論」につながるような流れを意識しましょう。
また、その結果から得られる「知見」や「まとめ」はその都度提示しておくと良いと思います。
考察
発表時間によっては考察に十分な時間を割けないことも多くあります。
その場合には、過去の文献等のまとめはせず、自分の調査結果についてのまとめを「小括」や「結果のまとめ」等でまとめて結論につなげます。
余裕があれば(論文等であれば)
過去の文献のまとめ→今回の結果との類似点・相違点→制限(Limitation)について考察
ができれば十分だと思います。
結論
○○が有効である。とか、同等である、とか。示唆される、とか。
ポジティブな表現が良いと思います、個人的に。
終わりに
スライド作成お疲れ様でした。
完成したら、上級医や他の先生に見て貰いましょう。
ずーっと同じネタに集中していると、話が跳躍したり、表現がわかりにくかったりする所に気付きにくくなります。
実際に発表する相手は「初見の他人」なので、そういう目を持っている人の意見は大事です。
1人で抱え込まず、適宜相談しながら作成しましょう!
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿