Excelで折れ線グラフを作るときに、全く同じ値があると、完全に重なってしまって後ろのデータが見えなくなることがありますよね。

数学的に正しいのはわかるけど、なんというか、伝わりにくい。
そんな悩みを解決するグラフの作り方を紹介します。

グラフが見づらくなってしまったとき

今回対象としている見づらいグラフとは、こんな感じのグラフ。

途中から全く同じ値を取るせいで、線が1本になってしまいました。
少し線がずれていたら見やすいのに……
ということで、こんな時にグラフを見やすくする方法を紹介します。

散布図を使う

散布図は、x軸もy軸も両方値を指定したときにプロットが打てます。
通常の折れ線グラフは、x軸が項目になっているため、間は等間隔で重なっています。
間をつないだ散布図は、折れ線グラフのように見えて別のグラフです。

例えばこんな推移をする値をグラフにしたいときは
データをまとめて選択して、挿入＞グラフ＞散布図（直線とマーカー）でグラフを作成、してみます。


すると、途中で重なってしまいますね。
ここの線をずらして存在感のある折れ線を作ります。

X軸（横軸・大抵は時間経過）をずらすか、Y軸（縦軸・大抵は値）をずらすか、ですが、
・処理しやすいのはY軸をずらす
・値に意味があるなら（手間はかかるけど）X軸をずらす
です。
症例報告などで値に意味があるなら、Y軸をずらすと値そのものが変わってしまうのであまりおすすめできません。
推移を見るという観点では、X軸を全体にずらす方がきれいだと思います。

Y軸をずらす

ずらしたい方の列の横に新しい列を作り、データをコピーします。
重なっている部分の値を少し変えて（+0.1など）、グラフにデータを追加します。
グラフのデザイン＞データの選択＞系列の追加
重なっている元の線グラフを非表示にすると、少し上にずれたグラフができあがります。



X軸をずらす

ずらしたい方の列の手前に新しい列を入れて、X軸を少しずらしたデータをコピーします。
=A2+0.1とかで入力して、右下の■を下にドラッグする（オートフィル）と簡単です。

先ほどのグラフで、Bの値のX軸を変更します。
グラフのデザイン＞データの選択＞系列　で　Bを選択して　編集
系列Xの値　に　先ほど新しく入れたデータを選択（開始位置を間違えないように）　で　OK


すると、線全体が少し右にずれたグラフができあがります。



臨床関係の発表で使えるのは基本的にこの2つと思います。
ついでに、ジッタリングという手法もご紹介します。

ジッタリング

アンケートなどで相関をみたいときなどに使うと良いかもしれません。
実際の値に微少な値をランダムに足したり引いたりしてデータをずらします。
（ずらす前の図がこちら）


以下の3つの関数を使ってダミーデータを作成します。

・RAND()　0～1未満の乱数を発生させる
　ずれに使う程度の微少な値にするにはーRAND()/10とRAND()/10で-0.1より大きく0.1未満の値がランダムに発生する
・RANDBETWEEN(最小値, 最大値)　最小値以上最大値以下の整数の乱数を発生させる
・CHOOSE(インデックス, 値1, 値2, …)　インデックス番号に応じた値を取り出す
　RANDBETWEENとCHOOSEを組み合わせて、インデックスをランダムに1か2になるようにします。
　さらに、値にーRAND()/10、RAND()/10を入れて、ランダムに-0.1より大きく0.1未満の値を取り出せるようにします。
=B3+CHOOSE(RANDBETWEEN(1, 2),-RAND()/10, RAND()/10)
F9を押すたびに乱数が更新されて値が変わります。

xもyも微妙にずらした値で散布図を作ると、それぞれのプロットがずれたグラフができあがります。
（ずれが大きかったのでRAND()/20にして0.05までにしています）